湘南のジェラテリア:The Market SE1のブログページです。
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F1とSE1
オープン以来、よく聞かれるのが

「どうやってホンダのシェフになったのですか?」

という質問です。
自分の事を書くのはヒジョーに苦手ですが、1周年だし書いてみることにします。

僕はホンダと契約していたわけではなく、イギリスのケータリング会社と契約し、そこからホンダへ派遣されてました。なのでホンダ専属というのは、厳密に言うとちょっと違うのかな。どのチームも必ずどこかのケータリング会社と契約していて、シェフが派遣されてます。

ある雑誌で「F1のパドックはインターナショナルで日本食が大人気なのに、日本人シェフが1人もいない」という記事を読み、自分でF1のケータリング会社を調べ売り込みました。その翌月にロンドンで行われたモータースポーツのパーティーでの料理を担当することになり、徹夜で取り組んだ熱意が認められたのか、評判が良かったからなのかどっちかわからないけど、その夜にケータリング会社社長からCongratulations!の言葉と共に翌年の契約書を貰うことができました。あまりにもあっさり決まったので、シーズン開始まで半信半疑だったくらいです。

すごくセレブな仕事に思われがちですが、中身はガテン系。かなりハードです。契約は1年、しかも「中途解雇あり」と盛り込まれています。ゲストやレーサー、スタッフを満足させられなければ、即クビになるということです。ケータリング会社もチームを満足させなければ来季の契約が取れなくなるわけで、何かあれば迅速に対応しなければならないのは当然のこと。そのため、お給料もレースごとの支払いでした。クビにした時に楽だからでしょう。実際僕が働いてた間、2人の同僚が半年から1年置きにぐるぐる代わっていきました。常に明日は我が身と思いながら仕事をするのは、なかなかの緊張感です。

この仕事は料理も大切ですが、それと同じくらい必要なのは体力、そして信頼関係(コミュニケーション)。このトライアングルをうまく保てないと、8ヶ月間のハードなスケジュールを乗り切るのはなかなか大変になってきます。相手のコンディションや状況を見て何が欲しいかを瞬時に考え、料理やサービスをしなければなりません。そして早朝であろうと、夜中であろうと彼らの必要な時に側にいなければならない。試験前に徹夜で頑張る息子たちにご飯を作ってあげる母のような感じとでもいうのかな。レースの結果が良ければHugして喜び合うし、悪ければなるべく声を掛けずに食事で元気を取り戻してもらえるよう心がけてました。

ジェンソンがオフィシャルのQ&Aにこんなコメントを載せてくれました。



彼は僕が担当してから日本食を大好きになってくれました。何でも食べるから、きっとみんなも驚くんじゃないかな。そして他のスタッフやゲストと同じように、常に感謝の言葉を伝えてくれました。こういった言葉が僕の力となっていたことは言うまでもありません。

F1の仕事とSE1の仕事には共通点があります。それは食べる人たちと対話できるということ。厨房で働いてた時は限られたお客さまとしか話せなかったため、パドックやお店で食べてる人たちの笑顔を見ながら働けるということはシェフ冥利に尽きるなぁと毎日感謝しています。多くのお客さまからたくさんの笑顔を貰えるよう、これからも精進していきたいと思います。今後ともSE1をよろしくお願いします。

店主
| 2010.05.03 Monday | つぶやき | trackbacks(0) |
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