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島根県雲南市木次町 山地酪農の日登牧場へ



朝7時30分、日登牧場に到着!ちょうどブラウンスイスたちは搾乳しながらお食事の最中でした。くりくりっとしたおめめが愛らしく、近づくと穏やかな表情でこっちを見てくる。かわいーっ!しばらくブラウンスイスの様子を見続けてると、見学の案内をしてくださる福馬さんが笑顔でやって来た。「幸福の福にうまの馬で福馬と申します。名前に馬が入っていますが、牛の世話をしております」寒さでこわばっていた表情が思わず緩む。牧場で働くスタッフは福馬さんを含めて3人。みなさん、優しい眼差しでブラウンスイスの世話をされていました。


こちらが福馬さん。ブラウンスイスは高い音によく反応するそうで「棒で地面をカンカン鳴らすと前に進んでいくんですわ」

木次乳業の創始者である佐藤忠吉さん(現相談役)は、牛乳中の栄養成分や風味を損わない殺菌法パスチャリゼーション(低温殺菌)を日本で最初に取り入れただけでなく、スイス原産のブラウンスイス種を初めて乳牛として日本に輸入した方でもあります。

明治時代に一度、和牛改良の目的でブラウンスイスが導入された事があったそうですが、長らく姿を消していました。当時の農林省、今の農水省がなかなか乳牛種としてみとめてくれなくて、3年がかりでお願いをして、戦後はじめて乳牛として試験輸入することになりました。森まゆみ著「自主独立農民という仕事―佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々」より)

山の斜面を利用する山地酪農は飼料用の穀物や牧草の畑が必要なく、とても経済的。山を切り開かずに済むため、環境保全にもつながります。山岳牛のブラウンスイスは足腰が強く、山の斜面もスイスイと歩けるため、この山地酪農に適していました。

雨が降ろうと槍が降ろうとですわ。これを山地酪農といいますが、こうして昼間は山の中で牧草を食べさせ、運動をさせる。放牧すると牛乳の中のビタミン類が増えます。森まゆみ著「自主独立農民という仕事―佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々」より)

牛、1頭1頭の世話がおろそかになるので、規模は大きくするつもりはありませんが、過保護にもしません。ひもじさ、寒さ、難儀を与えないと、人も強い心身にはならないのと同じですから。
(木次乳業「自然が息づく(食)」より)

以前、山のおちちの話を伺った時、大雪が降ると人間は山へ入ることができないため、牛は自分たちで寒さを耐えなければいけないと聞きました。雪にあたらないよう屋根のあるところへ避難したものの、雪の重みで屋根が崩れ、亡くなってしまった牛もいたそうです。自然の厳しさを身を以て知ることも、大切なことなんだと知りました。

「日登牧場にいるブラウンスイスは約40頭です。ブラウンスイスはホルスタインに比べ乳量が少ないので、1日に搾れる量はだいたい600キロ。少ないですが、乳質がとても良いです」1本1Lだから…約600本。ホルスタインの搾乳量は1日に約30Lだから、だいたいその半分!その貴重なミルクがうちへやって来てるんだ。いつも美味しいミルクをありがとう。

「山で食べる雑草の他に、エサは非遺伝子組み換えの配合の飼料、野草の混ざった牧草を餌に使っています。近年、国産で非遺伝子組み換えのものを探すのが難しくなってますが、ウチではこれだけはこだわっています」


「僕らは仕事があるので、その間、子供のブラウンスイスにエサをあげてみますか?」即答でハイ!エサを持って来てもらい、早速チャレンジ。はじめはちょっと警戒されたけど、慣れてくるとよく食べてくれる。連れて帰りたいなぁ、可愛いなぁ。

ちょうどエサがなくなった8時すぎ頃「これから放牧します。ブラウンスイスと一緒に行きますか?」もちろん、行きますとも!「大丈夫だとは思いますが、何か危害を加えられてもこちらでは責任を負いかねますので、気をつけてください」え、危害ですか?!ドキドキ。






ブラウンスイスと一緒に山道を歩きだす。みんな部外者に興味津々なのか、くっついて離れない!すると途中で大渋滞が起こり、なかなか前へ進まなくなってしまったので、わたしたちは引き返すことに。


するとすぐに渋滞解消。邪魔してゴメンね。みんなで仲良く山へ向っていきました。行ってらっしゃーい!

山のおちち同様、山地酪農も本来昼夜放牧なのですが、夜中に近くの民家へ侵入した子がいたため、ここのところ夜は牛舎へ戻してるのだそう。朝起きて玄関にブラウンスイスがいたら…ビックリだ(笑)

ブラウンスイスたちが自由に伸び伸びとリラックスして過ごせているのは、育てているスタッフたちもまた明るく健やかで酪農を楽しんでしているからだと感じました。木次乳業が理想とする酪農の姿を間近で感じることができ、充実した時間を過ごすことができました。日登牧場のみなさま、お忙しいところありがとうございました!

この後は木次乳業へ向います。
| 2011.03.21 Monday | 生産者を訪ねる旅 | trackbacks(0) |